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造礁サンゴの色上げの方法について、今までにいろんなことが言われてきました。
「集光型のメタハラで強烈なブルー系の強い光を照らすと色が上がる。」から始まり、
「UVを照らすと良い。」
「赤色の光を照らすと良い。」
「10000K位の薄青い光でないとダメだ。」
「硝酸塩とリン酸塩は限りなく低レベルにして貧栄養下環境にしなければならない。」
「いやいや、そんな強い光は必要ない。蛍光灯で十分だ。」
「硬度を下げない特殊なゼオライトを使うと効果がある。」
「LEDを使うと良い。」
「色上げ用の添加剤を使うと効果がある。」
「KHが高いとダメだ。」
など・・・。聞いたことありますか?
サンゴの色上がりの仕組みに関しては未だに確かなことは言えませんが、
デルフィスなりに整理しておきたいと思います。
先ず、サンゴの色となる色素について整理してみます。
サンゴの色に関わる色素としては
Ⅰ、褐虫藻の光合成色素
Ⅱ、サンゴ虫が作り出す色素
の二つがあります。
Ⅰは褐虫藻が体内に持つ光合成色素のことです。
造礁サンゴは植物性プランクトンの褐虫藻と共生しているサンゴなので、この光合成色素がサンゴの色として透けて見えています。
主な色は褐虫藻という名前の由来でもある褐色(茶色)で、これらは光合成色素のクロロフィルa、クロロフィルc2、ペリジニンが
光合成に不必要な光を反射することで見えている色です。
また、この褐色の色は環境の変化によって濃くなったり、薄くなったりします。
光合成がスムーズに行える快適な環境では褐虫藻、光合成色素ともしっかり密集して褐色が濃くなります。
しかし、紫外線や強光、高水温または低水温、低塩分、過剰なCO2などで体内の活性酸素が増加して障害を与えるようなストレスを受けると、
サンゴは褐虫藻を体外へ放出したり、あるいは褐虫藻の色素量が減って結果的に色が薄くなっていきます。
そしてさらにストレスが増加すると褐色の色素がなくなり、サンゴ虫は無色透明なので、その下の骨格の色が透けて見えて真っ白になります。
いわゆるこれが「サンゴの白化」です。
この白化現象では、すべての造礁サンゴがいきなり褐色から白色になるわけではありません。
その間に綺麗で、カラフルな色のサンゴに変身するものがあります。このサンゴを色鮮やかに見せる色素が、実は
Ⅱの「サンゴ虫が作り出す色素」のことになります。
もちろん「色鮮やかでカラフルな色になればサンゴは必ず白化する。」ということではありません。
ストレスが和らいでくれば褐色も濃くなって、また元の深みを増した色合いに戻っていきます。
Ⅱの色素は遺伝的なもので、サンゴによって作り出せるものとできないものがあります。
サンゴが鮮やかでカラフルな色になるには、先ずこの色素を作り出せる遺伝子をもっているかどうかが問題です。
(ここからはまだよく解らない事も多いのであくまでも参考にして頂ければと思います。)
Ⅱの「サンゴ虫が作り出す色素」は、さらに二つに分けて考えています。それは
①、色素タンパク質:サンスクリーン的な役割があるのではないかと思う色素
②、蛍光タンパク質:ある波長を吸収して蛍光を発する色素
①の色素は、主にハナヤサイサンゴ科、ミドリイシ科の仲間が自ら肉質内に作り出す色素で、
強光に対して褐虫藻や自らの細胞を守るサンスクリーンの役割を果たしているのではないかと思っています。
この色の特徴はフルスペクトルの光(白色)を照らしても見える色です。
吸収できない光を反射している色素になります。褐虫藻が強光によってストレスを受けると光合成阻害が起こります。
そこでサンゴ虫は褐虫藻より上側に色素タンパク質を作り、サンスクリーンとして褐虫藻を強光から守っていると考えています。
この色素の色は主に青色・赤色・紫色で、まるで光合成で利用する主な波長を反射して弱めているように思えます。
[この色素のことをよく紫外線を吸収したり、抗酸化物として働くMAAs(マイコスポリン様アミノ酸)と同じものとしているようですが、
これは色素(タンパク質)ではありません。またこの成分は褐虫藻がもっているものとされているので、
サンゴ虫が作り出している色素とも違います。MAAsは褐虫藻が紫外線や過酸化水素から身を守っている成分です。
とは言っても最近解ったことですが、サンゴ虫自体も紫外線防御する成分を作り出すことができるそうです。
これが色素なのかどうかは解りませんが・・。]
②の色素は、ある波長を吸収して他の波長の蛍光を発する色素です。
この色素のことを「蛍光タンパク質」と言っています。主に400~500nm、550nmあたりの波長域の光を吸収してそれよりも長波長の蛍光を発します。
そのため、フルスペクトルの白色光より青色系の光の中で見える色で、その色は、蛍光グリーン、蛍光ブルー、蛍光イエロー、蛍光オレンジ、蛍光・・・等。
この色素が多く密集しているところは色鮮やかな蛍光色になります。この色素の働きは、水面近くの強光環境下では、
エネルギー量の高い波長の光を他の光に変換することで活性酸素によるストレスから褐虫藻を守ります。
また、ある程度水深があり光合成をするのに快適な光環境下では、逆に褐虫藻の異常増殖を抑える働きがあると考えています。
例えば、蛍光グリーン色を発する蛍光タンパク質は、褐虫藻の光合成にとって必要な470nmの青色の光を吸収して、
不必要な508nmの蛍光グリーン色を発します。これはまるで光合成を邪魔しているかのようです。
この環境下で見るサンゴの多くはこのグリーンの蛍光タンパク質を多量に褐色の褐虫藻の上側に密集させていて、
青い海の中では緑色に見えています。ミドリイシの名の由来はここからきているのでしょうか。
そして、さらに深いところの弱光環境下では褐虫藻の下側の密集して、
波長域や光量の限られた光を他の波長に変えることで光合成に必要な波長域を補っているとも言われています。
しかし、この蛍光タンパク質もすべてのサンゴが持ち合わせているものでもなく、またその種類も異なっていて、これもすべて遺伝によるそうです。
これまで述べてきたように、この二つの色素(①と②)が相互して、
サンゴは色鮮やかでカラフルな色になります。
浅瀬の強光下ではⅡの色素は褐虫藻の上側にどんどん密集して、
光エネルギーを吸収、反射、及び他の波長に変えて褐虫藻やサンゴ虫自体のストレスを緩和しようと働きます。
そして褐虫藻側のストレスが増すと褐虫藻の色素量が減って褐色が薄くなり、
このⅡの色素の色だけが透けて色鮮やかでカラフルな色のサンゴへと変わっていきます。
以上、サンゴの色素について述べてきましたが、サンゴが鮮やかでカラフルな色になるには、
基本的な水質(pH,alk,Ca.Mg,・・・・濃度)は当然問題無し!として、
1、色素タンパク質や蛍光タンパク質をもっているサンゴであること。
2、貧栄養下環境であること。(低栄養塩)
3、褐虫藻にストレスを与えること。
そして、
4、色素タンパク質や蛍光タンパク質を作り出す光環境であること。
の4つの条件が必要です。
ここでご理解いただきたいことは、サンゴを色鮮やかでカラフルな色に変えようとするときは注意が必要です。なぜなら
「サンゴを鮮やかでカラフルな色にすることは、白化するリスクを伴う。」
からです。自然のサンゴ礁域において、サンゴが色鮮やかでカラフルな色に見えるときは、サンゴがストレスを受けている環境を意味しているからです。
Blog『1500水槽-サンゴの色の実験』も合わせてご覧ください。
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